澁澤龍彦 「女のエピソード」 [本]
夜勤をやっていると休日の睡眠時間のとり方がどうにも不規則になってしまう。
仕方の無いことだと思っているが、できれば普通の勤務に早く戻れればなぁ、と思っている。
昼間の睡眠は眠りが浅くなるので、夢をよく覚えていたりする。
たいていは後味の悪い嫌な夢。でも最近はそれほどでもなくなった。しかし、なんとなくだが脳裏に焼きついて離れない映像(絵)があったりする。今回はその少女の絵について少し書いてみる。
故・澁澤龍彦氏の著書に「女のエピソード」という有史上のさまざまな女性たち
マリー・アントワネット、アグリッピーナ、ローラ・モンテス、和泉式部、ジャンヌ・ダルク、シャルロット・コルデー、サロメ、細川ガラシア夫人、ワンダ・リューメリン、マリリン・モンロー、建礼門院平徳子、ド・ブランヴィリエ侯爵夫人などのエピソードをデッサン調につづった女性論がある。
澁澤龍彦氏は言うまでもないが、サドの翻訳や幻想的な小説やエッセイ、三島由紀夫氏との交流で知られている作家だ。
その「女のエピソード」の表紙を飾る少女の画像がある。
白装束を身にまといこちらに見返りをうつ少女。暗闇に光が差して輝くその少女の表情はとっても
あどけなく、瞳は悲しみを帯びているように見えるけど、わずかに微笑んでいるようにもみえる。
苦しむのをあきらめて運命に全てを任せることを決意した姿のようだ。
この少女は、16歳の若さで斬首刑に処せられたベアトリーチェ・チェンチの遺影ともいえる肖像だ。
ローマ市街のバルベリーニ宮殿、2階の国立古典絵画館に収められている
グイド・レーニ作『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』17世紀初頭の作品だ。
理由はどうあれ父親を殺害した罪は、当時のイタリアの法律では極刑だった。 澁澤龍彦全集〈11〉 女のエピソード,偏愛的作家論,変身のロマン,悪魔のいる文学史,幻妖 他
公開処刑の日、刑場に集まったローマ市民は彼女に深く同情し猛反対したが願いも虚しく
刑は執行されてしまった。
刑場に連行される際に彼女は、「ああ、神さま、どうしてわたしはこんなに不幸に死なねばならないのでしょうか」と叫んだが、礼拝堂で祈りをささげるとその後、死ぬまで一度も取り乱さなかったと言う。
↓のサイトにベアトリーチェ・チェンチのお話があります。
女のエピソード/ベアトリーチェ・チェンチ/01
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